2022年10月20日(木) | by 柏陵ウェブ編集部 コメントする

 柏原高校1年の2~5組の生徒を対象に9月15日、同校で「地域協働学習」の授業があった。地域課題解決への取り組みの最前線にいる丹波市職員が課題の提供と講義を行った。生徒たちは、5人の市職員から、▽公共交通▽ごみ問題▽健康▽化石資源▽生物多様性―の5つのテーマから2つを選択。現状と課題を聞き、来年1月までにまとめる自身の探究テーマを探った。
 身近な社会の課題とその解決に取り組む大人の視点を知り、市民の一員として何ができるかを考え、気付きを共有する探究授業。
 市教育委員会社会教育・文化財課の教育普及専門員で、氷上回廊水分れフィールドミュージアム館長補佐の朴侑希さんは、生物多様性をテーマに講義。「氷上町石生の分水界周辺を『水分れ』と呼ぶ。海抜は95mで、本州で最も低い中央分水界」と説明した。水分れを中心に、南北に標高差のあまりない低地がベルト状に続くルート「氷上回廊」をイラストで示し、「高い山を越える苦労をしなくても日本海側と瀬戸内海側のどちらにも楽に行き来できることから、太古から人々の通り道となり、豊かな暮らしや文化を育んだ。動植物もこのルートを使って分布を広げ、氷上回廊一帯は生物多様性の宝庫となった」と解説した。

 しかし、スケールが大き過ぎることもあって、「概念として分かりにくい中央分水界、水分れ。視覚的、感覚的に分かりやすく、多くの人々に知ってもらえる方法はないか」と施設としての課題を生徒に伝え、「目には見えない生物多様性。どこに、どのような生物がどれだけいるのかも把握できていない。市民と一緒に調査、保全する方法や、丹波市の豊かな生物多様性を広くPRする方法も考えてほしい」と呼び掛けた。
 余田温君(市島中出身)は、「丹波の自然に興味があって受講した。好きな分野とはいえ、いざ課題を見つけるとなると難しいが、頑張りたい」と話していた。
 行政から探究テーマとなる地域課題を提案してもらい、協働で課題解決に取り組む同授業は初の試み。生徒は今後も数回講義を受け、11月に中間発表を、来年1月の「地域課題を考える日」に学びの集大成を披露する。

(丹波新聞)

コメントをどうぞ


CAPTCHA