福知山市で生まれ、丹波市で育った現代美術作家、奥田善巳(1931~2011年)の回顧展が、植野記念美術館(氷上町西中)で始まった。奥田の生誕95年、没後15年の節目を迎え、今年に入って市に個人から寄贈があった作品を含めた28作品を展示。「存在」と「不在」をテーマにした観念的な作品などが並んでいる。また、奥田が旧制柏原中学校(現柏原高校)の卒業生であることから、同高の美術教員らの作品も展示している。7月12日まで。
奥田は幼少期、氷上町石生で暮らし、同高校で図画担当教諭の日本画家、山本茂斗萠のもとで学んだ。一説によると、奥田は山本の指示を受け、同高校の校章の原案を作成したと伝わっている。
卒業後、神戸市で1960年代から本格的に作家活動を開始。「ないことを表現している」とし、存在と不在をテーマにした作品を発表。回顧展でも展示している「ネガへの挑発」と題したシリーズでは、ドラム缶などの主要なモチーフは地塗りのまま残す一方で、背景の色は鮮やかな色で際立たせるなど、主客を反転させて表現している。
66年の個展時、プラスチックボトルや缶などの容器に、反転して印刷したラベルを貼り、会場を埋め尽くしたインスタレーション作品「エヴァの」の一部も展示している。
80年代以降は、重層的に色を塗り重ねる抽象表現による油彩画を制作。初期の作風からの変遷も楽しめる。
このほか、妻で現代美術作家の木下佳通代、夫妻と親交があった植松奎二、奥田を指導した山本らの作品が並ぶ。母校の同高校で美術を担当した荒木孝典さんと、現在も指導する堂東由佳さんの作品も展示している。
午前10時~午後5時。一般400円、大学・高校生300円、小中学生200円。月曜休館。同美術館(0795・82・5945)。

