柏原高校2年の宮本葵さん(丹南中学校出身)が、「第34回読書感想画中央コンクール」(全国学校図書館協議会など主催)の高校・自由図書の部で全国3位となる優良賞を受賞した。同コンクールは、本の世界で得た感動を絵で表現するもので、宮本さんは、アラスカの雄大な自然と、そこに生きる人々を追い続けた写真家、故・星野道夫さんの写真文集「Alaska 風のような物語」(小学館)を読み、「生命のつながり」と題して描いた。全国6138校から67万2567点の応募があった。県コンクールを最高位の優秀賞で通過し、全国への出品を決めた。
四つ切画用紙(約55×40cm)に水彩絵の具と色鉛筆などで、地表や木々の枝先にまで緑色のコケがびっしりと繁茂したアラスカの森を描いた。斜め上から差し込む日の光が美しい森の奥にはカリブー(トナカイ)を、林床の片隅にはコケに覆われたムース(ヘラジカ)の巨大な角を描き加え、間もなく土に返ろうとしている様子を表現している。そんな静寂が支配する森の中のこけむす倒木に腰掛け、目を閉じ、耳を澄ます少女が印象的。「星野さんの本から、アラスカの先住民がムースやカリブーを狩って命の糧としていることや、森がムースを育て、ムースの亡きがらが土に返って森を育んでいることを知った」と宮本さん。「そんな命の循環を表現したかった。少女は、森の中にあふれる生命の息吹を感じ取ろうと耳を澄ましているのです」
森や生き物が好きなことからワンダーフォーゲル部と写真部に所属。小さな頃から絵を描くのが好きで、今でも時間があればイラストを描いて楽しんでいるという。
読書も好きで、中学時代は週1冊のペースで読んでいた。高校生になってからは勉強や部活が忙しく、じっくり本と向き合っていなかったが、「受賞を機に星野さんの本をもっと読んでみたくなった」とほほ笑む。
昆虫をはじめとする生き物全般に興味があるという宮本さん。将来の夢は、生物系の研究職に就くことという。