2023年2月12日(日) | by 柏陵ウェブ編集部 コメントする

 

 丹波県民局は、「まちの活性化には若者の居場所づくりが必要」と、柏原高校の生徒を対象に、通学路上にある柏原スタジオ(柏原町柏原)を期間限定で開放する社会実験「放課後みちくさプロジェクト」を始めた。同スタジオは暖房やWi-Fiなどが完備し、飲食も可能な20畳ほどのスペース。初日の1月16日には、授業を終えた生徒たちが電車や親の送迎の待ち時間に立ち寄り、友だちとのおしゃべりを楽しんだり、参考書を開いて勉強にいそしんだりと思い思いのひとときを過ごしていた。月、火、木、金曜の週4日午後2~7時に開所。1カ月程度実施する。
 同スタジオは、株式会社まちづくり柏原(岡林利幸代表取締役)が運営。古民家を改修した施設で、ストーブやホットカーペット、こたつなどの暖房は万全。トイレや洗面台も備える。これまでは関西学院大学のフィールドワークの拠点として利用されていたが、今年度から関学生以外も使えるよう開放している。
 県民局は、読書や勉強、カフェタイムなど気軽に自由に使ってもらうことを想定している。社会実験期間中は毎回、まちづくり柏原のスタッフらが1人駐在している。
 「丹波2050地域ビジョン」の12のシンボルプロジェクトの一つ「まちの拠点創造プロジェクト」の一環。県民局を事務局に、学識者や地元代表らで組織する「柏原交流ゾーン構想検討会議」が、同スタジオがある駅北市街地の活性化に向けた意見を高校生に聞いた際、「放課後に勉強できる場所や、電車を待つ間の空き時間を過ごせる場所が少ない」といった声が多くあり、県民局も「若者が集まることで活気が可視化され、まちの賑わいを取り戻す第一歩につながるのでは」と考えた。今回の活用状況やニーズを踏まえて、今後の拠点づくりの方策検討などに向けた基礎データとして活用する。
 同検討会議は、▽駅北市街地▽県が所有する駅南側の未利用地▽丹波の森公苑―の3つのエリアを「柏原交流ゾーン」と名付け、多拠点居住やテレワークなど、新たな暮らし方や働き方に対応した複合的な都市機能の在り方を協議している。
 仲間3人と立ち寄った松本怜恩君(2年、山南中出身)は、「電車は1時間に1本。駅の待合室で過ごすが、混み合うことが多く、寒空の下で電車を待つことも多い」と苦笑いし、「ここはWi-Fiがあって何より暖かい。全力で利用したいと思っているが、ここも混みそう」と心配する。
 参考書を広げ、翌日のテストに向けて勉強していた廣瀬有寿さん(1年、山南中出身)と石塚純怜さん(同、和田中出身)は、「落ち着いた空間でリラックスして勉強できそう。これからも利用したい」と笑顔だった。
 県民局は、「将来は、単なる『よりみち』の枠を超えて、地域の人や起業家、大学生などの多様な人たちとの交流や活動など、高校生の新たな体験の場として活用していくことも検討できたら」と話している。
 丹波土木事務所まちづくり建築課(0795・73・3860)。

みちくさプロジェクト
「暖かーい」。ほっとした表情で、こたつやテーブルに座り、それぞれの時間を過ごす柏原高校の生徒たち

(丹波新聞)

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