高校生による国内最大規模の芸術文化活動の発表の場「第44回全国高校総合文化祭」の自然科学部門の「化学」分野で、柏原高校理科部の4人が、研究成果が優秀だった上位5校に贈られる「研究奨励賞」を受賞した。タイトルは、「リンゴのビタミンCを酸化する物質とは?―実験で見えた新たな真実」。一昨年の12月から研究を始め、その結果を論文にまとめた。4人は「長い時間をかけて行ってきた実験を評価してもらい、うれしい」と喜んでいる。
いずれも3年生の足立凌部長(和田中出身)、石田恵大君(山南中出身)、西田朱里さん(氷上中出身)、山本哲也君(春日中出身)。同部は、昨年11月に行われた県総文祭で最優秀賞に輝き、県代表として全国行きの切符を手にした。
7月31日~8月6日の7日間、高知県で開催の全国総文祭で発表する予定だったが、新型コロナウイルスの影響でウェブ上での実施となり、論文のみで審査された。
「化学」分野には40近い論文の提出があった。大学教員が審査員を務め、「面白い、わくわくする」と感じた論文について5点を選び、「研究奨励賞」を贈った。
同部は、ヨウ素液を使ってビタミンC(以下、V・C)の含有量を測定する手法を用い、リンゴのV・Cについて研究を進めた。
リンゴの皮をむくと変色するのは、リンゴに含まれるポリフェノールが酸化するためで、食塩水に浸すと変色が起こりにくくなるのは、食塩にポリフェノール酸化酵素を抑える働きがあるからとされている。
一方でアスコルビナーゼというV・Cを破壊する酸化酵素も含まれており、この酵素の働きは食塩では抑えられないと言われていた。
そこで、ポリフェノール酸化酵素とアスコルビナーゼの性質を調べるために、リンゴにV・Cと食塩を加えて、V・Cの減少量を測定する実験を繰り返した。その結果、リンゴに含まれていることが定説だったアスコルビナーゼが実は存在しなかったという事実を見いだした。これらのことを約3000文字にも及ぶ論文にまとめた。
審査員からは「目的が具体的で明確だ。1つの結果に対して新たな仮説を立てながら進めていくアプローチの仕方はとても評価できる」などと講評を受けた。
顧問の小西邦和教諭(65)は、「単調な実験だったが、繰り返し続けることの大切さを実感してくれたのでは。よくやってくれた」と4人をねぎらった。
同総文は10月末までウェブ上で開催しており、理科部の研究発表を動画https://www.websoubun.com/dept/science/chemistry/page/022.html で閲覧できる。