2014年7月28日(月) | by 柏陵ウェブ編集部 コメントする

 柏原高校 「知の探究コース」 の1年生 (38人) が、 「丹波の里山」 をテーマに丹波市の農業システム、 土地利用、 生態系、 伝統文化などについて研究して、 その価値を明確にし、 国際連合食糧農業機関 (FAO) が認定する 「世界農業遺産 (GIAHS)」 への登録をめざした学習活動を始めている。 その過程において、 コミュニケーション能力や問題解決力を身につけた、 国際的に通用する人材を育成するのがねらい。
 生徒たちはこの1学期、 クラス数の減からも見て取れる少子化、 過疎・高齢化、 医療不安などの市が抱える課題を踏まえた上で、 人材、 自然、 地域資源などの財産を、 どのように課題解決に結び付けていけるかを考えた。 その中で、 同遺産登録は世界に強いインパクトを発信するものとして目標に位置づけている。
 16日に行われた授業 「探究Ⅰ」 では、 出身中学校区別の班に分かれ、 それぞれの地域の特産、 観光地、 祭り、 気候、 著名人などを出し合うなどした。 同授業は教諭が6人体制でサポートし、 一方的な座学ではなく討論、 発表を中心に展開しているのが特徴。
 夏休み中に、 生徒たちは地域に入り、 特色ある場所に出向いたり、 特産農家や地域活性化に取り組む人たちを取材し、 2学期からの研究でさらに理解を深める。 取材活動をきっかけに地域住民、 特色ある人材、 卒業生、 さらには市、 県などの機関も巻き込みながら同遺産登録に向けた動きをリードしたい考え。

丹波を「世界農業遺産」に 登録めざし地域研究

自分が住む中学校区の特産、 観光地、 自然などを書き出し、 発表する生徒たち=柏原高校内、 柏陵会館で

 また、 里山を研究している兵庫県立大学の熊谷哲教授のもとへ校外研修に行くほか、 希望者数人が、 協力校として交流している韓国の金海外国語高校を訪問。 2学期以降には、 テレビ会議で農業問題について論じ合うなどして国際感覚を身につけていく。
 同クラスの瀬川智明君は、 「丹波は自然が豊かで、 世界農業遺産に登録されている他の場所との共通点もある。 個人的には青垣と山南では気候に差があり、 農業の様子を比較すればおもしろいのではないかと思っている」 と話していた。
 同校は今年度、 文部科学省の新規事業 「スーパーグローバルハイスクール」 (SGH) のアソシエイト校に選定された。 同事業の中で 「世界農業遺産」 に 「丹波の里山」 を申請する取り組みを行う。
 世界農業遺産 (GIAHS)  食糧の安定確保をめざす国際組織 「国際連合食糧農業機関 (FAO)」 (本部=イタリア・ローマ) が始めたプロジェクト。 近代化の中で失われつつある、 その土地の環境を生かした伝統的な農業、 農法、 農村文化、 景観などを 「地域システム」 として認定し、 保全へつなげようという取り組み。 世界11カ国25地域が認定されている。 日本では、 ▽能登の里山里海 (石川県能登半島) ▽トキと共生する佐渡の里山 (新潟県佐渡市) ▽静岡の茶草場農法 (静岡県) ▽阿蘇の草原の維持と持続的農業 (熊本県) ▽クヌギ林とため池がつなぐ国東半島・宇佐の農林水産循環 (大分県)。 登録を受けるには、 まず政府の承認が必要。 このため、 専門的な評価を行うことを目的に、 農林水産省内に 「専門家会議」 が設置されている。 政府の承認を得た上でFAOに申請、 審査を受ける。 現状では2年に一度、 審査が行われている。

丹波新聞より)

コメントをどうぞ


CAPTCHA