大阪・関西万博で、“次世代の太陽電池”とされる「ペロブスカイト太陽電池」を用いた発電ベストの実証実験を行った、豊田合成(本社・愛知県清須市)の新価値開発部電子ソリューション開発室長の婦木慎一郎さん(48)らがこのほど、母校の柏原高校を訪れ、同電池に関心を持つ高校生らに万博での実験で得られた知見などを紹介した。
「探究」活動の一環で、新テクノロジーについて調べている2年生6人が参加。ウェブ会議の前回に続き、同社製のベストや、ペロブスカイト太陽電池シートの実物を見たり、触ったりしながら説明を受けた。
生徒らは「万博で実際に使用して分かった課題は」などと一人ずつ質問。婦木さんと、同開発室グループリーダーの千賀卓也さんが答えた。
婦木さんらは「環境が整った研究室での数値と比べ、量産した製品を万博会場で使用してみると、発電効率がかなり下がることが改めて分かった。ベストは着て動き回ることで反射角が常に変わるという難しさもあった」と解説。「ただ、いわば世界初の実験だったからこそ、新しい課題が見つかったと考えている。ペロブスカイト太陽電池を他にどんな物に使っていけるかは、皆さんからもぜひアイデアを頂きたい」と呼びかけた。

話を聞いた田野陽葵さん(青垣中出身)は「実物を触り、曲げてみることもできてうれしかったし、こんなに詳しく教えてもらえるとは思っていなかった。これからの発電技術に注目したい」と話していた。
丹波市魅力アップ協議会の柏原高校コーディネーターを務める鴻谷佳彦さんが仲介役を務め、実現した。今年度、同校で週2回開設している「放課後探究ルーム」で行われた。
