2019年4月30日(火) | by 柏陵ウェブ編集部 コメントする

 

 柏原町母坪出身の徳田八郎衛さん(80)=千葉県浦安市=が、実家の土蔵にあった旧制柏原中学校(現柏原高校)や柏原高等女学校の教科書や副読本などを整理した。およそ100冊余り。「教科書を通して当時の社会の様相がわかる。歴史を学ぶ材料になるので、柏原高校に寄贈できればと思います」と話している。
 徳田さんの父親で、旧制柏原中学校9回生(明治43年卒)の冨二さんが収集し、所有していたもの。欧米哲学を多く日本に紹介した哲学者の井上哲次郎の「訂正 中学修身教科書巻一」(明治36年発行)、歌人で国文学者の落合直文の「訂正 中等国語読本巻一」(同)、国語学者で国語辞典「言海」を編さんした大槻文彦の「中等教育 日本文典 全」(明治39年発行)をはじめ、漢文や物理学、動物学、美術などの教科書や副読本があった。
 京都大学理学部卒業で元防衛大学校教授だった徳田さんは、「地学の教科書は、今よりもハイレベルな内容」と感心。「国語も英語のリーダーもハイレベルだし、漢文は基礎から丁寧に教え込んでいたよう。修身の教科書では社会常識についても取り上げている。いずれにしろ明治、大正期の生徒たちは深い知識を学んでいたようで、今を生きる生徒にそのことを知ってもらえれば」と話している。
 冨二さんと同じく旧制柏原中9回で、のちに海軍中将になった大西瀧治郎と思われる生徒を冨二さんが描いたクロッキーもあった。

(丹波新聞)

旧制柏原中などで使われていた教科書と徳田さん=柏原町母坪で

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